骨粗鬆症(こつそしょうしょう)

骨粗鬆症は、骨の量(骨密度)が減って骨がもろくなる病気です。
軽い転倒やくしゃみなどの小さな衝撃でも骨折してしまうことがあり、特に高齢の方に多くみられます。
骨粗鬆症は「痛みが出ないうちに進行する病気」であり、骨折をきっかけに初めて見つかることも少なくありません。
そのため、早期発見・早期治療がとても大切です。
骨脆弱性骨折(こつぜいじゃくせいこっせつ)とは
骨粗鬆症が進行すると、わずかな転倒や日常動作で骨が折れてしまうことがあります。
これを「骨脆弱性骨折」と呼び、命に関わることもある重大な骨折です。
代表的な骨折は次の4つです。
① 大腿骨近位部骨折(足のつけねの骨折)
転倒などで股関節の骨(大腿骨の付け根)が折れる骨折です。
高齢者に多く、手術や長期入院が必要になる骨折です。
- 一度骨折すると要介護や寝たきりになる危険が高まります
- 骨折後1年以内の死亡率は約10〜15%と報告されています
- 退院後の生活の質(QOL)が大きく低下することがあります
予防が最も大切です。骨密度検査や転倒リスク評価を早めに行い、適切な骨粗鬆症治療と骨折を防ぐ取り組みを続けましょう。
② 椎体骨折(背骨の骨折)
背骨の一部(椎体)が押しつぶされるように変形する骨折です。
転倒だけでなく、重い物を持ったり、くしゃみをしただけでも起こることがあります。
- 背中や腰の痛み、身長の低下、背中の丸まりが特徴です
- 一度骨折すると再び骨折するリスクが2〜3倍に上昇します
- 複数の椎体骨折で背骨の変形が進み、慢性の痛みや呼吸障害を招くこともあります
椎体骨折を放置したり、初期治療をおろそかにすると椎体のつぶれがひどくなり、骨が脊柱管に突出し神経を圧迫してしまうと痛みだけでなく麻痺が起こってしまいます。この場合は大きな手術が必要になり、手術しても歩けなくなる可能性があります。
そのため、早期診断と適切な保存治療、骨粗鬆症治療が重要です。
③ 橈骨遠位端骨折(手首の骨折)
転倒したときに手をついて発生する骨折で、手首のあたりの骨(橈骨)が折れます。
特に中高年の女性に多く、骨粗鬆症があると、軽い転倒でも骨折してしまうことがあります。
- 手首が腫れる・強く痛むのが特徴です
- 動かすと強い痛みが出ます
- ひどいと手首の変形(手の甲側に盛り上がるような形)が起こります
治療はギプス固定や手術(プレートやピン固定)を行いますが、治療後はリハビリで指や手首の動きを取り戻すことが重要です。骨粗鬆症の早期発見や再骨折の予防にもつながるため、早期診断と骨粗鬆症治療が重要です。
④ 上腕骨近位部骨折(肩の骨折)
転倒や転落の際に肩から地面にぶつかって起こる骨折です。
特に高齢の女性に多く、骨粗鬆症が背景にある場合が少なくありません。
- 肩の強い痛みと腫れが特徴です
- 腕があげられないです
- 肩を動かすと強い痛みが走ります
治療は三角巾固定や手術(プレートや人工骨頭など)を行いますが、動かさない期間が長くなると肩関節が固まってしまうことがあるため、早期診断とリハビリ、骨粗鬆症治療がとても大切です。
当院の骨粗鬆症診療
まつい整形外科 せぼね・関節クリニックでは、最新の骨密度測定装置(DXA法)を導入し、精密な検査・評価を行っています。
主な検査・評価
- 骨密度測定(腰椎・大腿骨)
- 血液検査による骨代謝マーカー測定
- 姿勢・転倒リスクの評価
主な治療
- 内服薬(骨の吸収を抑える薬)
- 通院注射治療(週1回・月1回・半年1回など)
- 自己注射治療(骨をつくる薬)
- カルシウム・ビタミンD補充
- 理学療法士による転倒予防運動指導
当院の特徴
- 骨粗鬆症マネージャー資格を持つスタッフによる継続的なサポート
- 骨密度・栄養・運動を組み合わせた総合的な治療
- 骨折後の二次性骨折予防(フラクチャー・リエゾン・サービス:FLS)に対応
- 必要に応じて地域の医療機関と連携し、早期回復を支援

